2016年3月15日火曜日

常設の統合司令部の設置

常設の統合司令部の設置に関しては、平成20年頃より前から、組織の在り方等につきまして、検討が行われて、様々な意見が出されてきています。

結局、平成17年度に統合幕僚監部の新設以降、統合運用強化のための施策を推進してきました。わが国を取り巻く安全保障環境は、この10年でも一層厳しさを増していることを踏まえると、今後、統合運用の重要性はますます高まっていくと考えております。

現時点において、統合司令部のような組織の新設について、次期中期防に盛り込むなどの具体的な検討を行っているわけではありませんが、今後、一層効果的に部隊運用をし得る態勢を構築するという観点からは、統幕、主要司令部の任務・役割・機能分担をどう整理をしていくかといった点を踏まえまして、様々な課題を解決していく必要があります。

いずれにしましても、三自衛隊の部隊が一体となって、より一層効果的な活動が実施し得るということが重要であると考えております。

「自衛隊の運用を巡る計画の作成点検についての変更」はあくまでも、シビリアン・コントロールの原則に則り、私(中谷防衛大臣)の指示・承認を行うことにはなりますが、内部部局による政策的補佐と統幕による軍事専門的見地からの補佐が相互に相まって、必要な調整が行われることには変わりがありません。 





本件の「自衛隊の運用を巡る計画の作成点検についての変更」は、この内部部局と統幕の間の業務上の連絡調整要領等について整理、改善をしたものです。その目的は、新たな役割分担の中で、文官と自衛官の一体性をより高めつつ、政策的見地と軍事専門的見地からの補佐が相まって行われ、「車の両輪」のように、私(防衛大臣)を適切に補佐して、より一層、適切な計画の策定、ないし、政策の決定がされることが重要です。

これまでもこの種の決定におきましては、大臣のもとに幕僚の補佐と内局の補佐の両者が同席した上で決定をしてきたものですので、基本的にはこれまでのやり方を変えるものではないと認識をしております。

内部部局と統合幕僚監部の間で業務上の連絡調整要領等について整理、改善をした結果、一部の「大臣承認の起案」は、統幕の主導に変わるため、統幕の方も文官統制が損なわれるのではないかという意見もありました。



しかし、繰り返しにはなりますが、文官統制という考え方は従来から文官が自衛官をコントロールするという意味の考え方は採っているわけではありません。つまり、文官という役割は、文民統制を担う防衛大臣の補佐であり、内部部局の文官が部隊に対して指揮命令をするという関係にあるわけではなく、政策的な見地の補佐と、また、軍事専門的見地からの補佐、この補佐が「車の両輪」としてバランス良く行われることを確保していくとものとされています。

2016年3月11日金曜日

北朝鮮が核兵器の小型化・弾頭化の実現

(北朝鮮の)ミサイルの発射に関しましては、安保理決議第2270号をはじめとする累次の安保理決議に違反するものであり、国際社会に対する重大な挑発行為と認識しております。


 あんぽり‐けつぎ【安保理決議】 国際連合の安全保障理事会(安保理)において行われる決議。法的拘束力があり、加盟国は決議に従わなければならない。安保理を構成する15か国(常任理事国5か国、非常任理事国10か国)のうち9か国以上が賛成し、かつ常任理事国のいずれもが反対しないことが決議採択の条件となる。国際連合安全保障理事会決議。→国連決議 →制裁決議 →総会決議 →非難決議
     (引用元https://kotobank.jp/word/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E7%90%86%E6%B1%BA%E8%AD%B0-429771)



今回の発射が、わが国の領域・周辺海域に到達し得る弾道ミサイル能力の増強につながるものであるとすれば、わが国の安全保障上、極めて強く懸念すべきものであると考えます。

今朝(平成28年3月11日) 朝鮮中央放送で、金正恩第一書記が「新たに研究・製作した核弾頭の威力判定のための核実験を継続していくよう示唆した」旨報じておりますが、現下の朝鮮半島の情勢を踏まえれば、北朝鮮が、今後、更なる挑発行動をとる可能性は否定できません。 


http://japanese.korea.net/NewsFocus/Policies/view?articleId=133253(引用元)


以上のことを踏まえまして、防衛省として、総理の指示も踏まえて、引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げて、わが国の平和と安全の確保に万全を期してまいりたいと考えています。

 朝鮮中央放送におきまして9日、金正恩第一書記が核兵器の技術者らと面会した際に、「核弾頭を軽量化」して弾道ミサイルに搭載できるように標準化、規格化を実現した旨発言したと報じられました。




 この点について、一般論として申し上げれば、一般的に核兵器の小型化・弾頭化には相当の技術力が必要とされる一方で、米国等が1960年代までには既にこうした技術力を獲得したとみられております。 

他方、いろいろな国が実験を重ねてきた例から見ても、北朝鮮も比較的短期間のうちに関連技術の獲得に至っている可能性がある。そして、北朝鮮が2006年に初めて核実験を実施してから既に長い年月が経過して、今回の核実験が4回目になることから、北朝鮮において技術的な成熟が予見をされることなどを踏まえれば、北朝鮮が核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も排除できないと認識しております。 


防衛省としては、米国、韓国等と緊密に連携して、北朝鮮に対して、安保理決議、また六者協議の声明などの遵守を求め、いかなる事態においても対応することできるように、緊張感を持って、情報収集・警戒監視に努めてまいりたいと考えてます。 



「高いハードルではない弾頭小型化」 正確には小型軽量化である。爆発規模が小型であることを必ずしも意味しない。要するに、手持ちの運搬手段(ミサイル)に搭載して、攻撃目標(例えば米国のワシントンDC)まで、運んでいくことが可能な軽量化が第一義的に重要である。兵器として必要な核爆発威力の規模はミサイルの命中制度と関係するが、数キロから数10キロトン(以下、ktと略)のTNT火薬相当が目標になる。(引用元http://www.gepr.org/ja/contents/20130128-01/)

参考サイト

核科学者が解読する北朝鮮核実験 技術進化に警戒必要
http://www.gepr.org/ja/contents/20130128-01/

安保理決議第2270号
http://www.un.org/en/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/RES/2270%282016%29&referer=http://www.un.org/en/sc/documen



2016年3月8日火曜日

辺野古の埋立承認取消しの是正指示

普天間飛行場の移設に関して、昨日(平成2837)、政府が沖縄県の翁長知事に対して、辺野古の埋立承認取消しの是正指示を出しましたが、政府と沖縄県が合意に達した和解条項に基づくものでありまして、政府と沖縄県が和解条項の内容を実現していく上で必要な手続きであると認識しております。


沖縄県側からは、和解条項の中に掲げられている「円満解決に向けた話し合い」がなされていない中で、是正勧告が出されたことに、否定的な意見も出ています。

しかし一方で、和解条項の中には、国が沖縄県に対して、埋立承認取消しの是正指示をすること、さらにその後、1週間以内に国地方係争処理委員会に申し出るなど、期日も含めて(円満解決に向けての)手続きが書かれてます。これに沿って、今、和解内容の着実に実現をしているところであります。


引用元:
http://blogs.mensclub.jp/haradajyudai/2015/04/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4%E7%A7%BB%E8%A8%AD%E3%80%80%E5%8F%8D%E5%AF%BE%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81/

また昨日(平成2837)は、アメリカのシェアー国防次官補の表敬を受け、わが国の防衛政策、地域情勢、また日米防衛協力、特にガイドライン、これの実効性の担保のために今後の取組み方、沖縄の負担軽減、また普天間飛行場の移設を含む米軍再編等について意見交換をしまして、緊密に連携していくということを確認致しました。

その中で、今回の和解案(政府と沖縄の間の辺野古埋立の承認取り消しをめぐる争いの和解案)について説明し、シェアー国防次官補からは、「今回の決定は日本政府が極めて慎重に検討した結果で、その上で下した決断だと承知をしている」という発言がありました。私とシェアー国防次官補は、普天間飛行場の返還というのは日米合意に基づいて進めているものであり、引き続き日米の間で緊密に連携をしていくことで確認をしました。

2016年3月4日金曜日

2016年3月7日から米韓連合演習

2016年3月7日から米韓連合演習が開かれる予定だと承知しております。昨今の北朝鮮は、朝鮮人民軍最高司令部重大声明を発表したり、今朝(2016年3月4日)には、金正恩第一書記が米韓の合同軍事演習を批判した上で、核弾頭の発射を念頭に置いたような発言をするなど、挑発的な言動を繰り返しております。



現下の朝鮮半島の情勢を踏まえますと、今後、北朝鮮が、米韓連合演習に反発するといった、更なる挑発行動に出る可能性も否定はできないということでありまして、防衛省と致しましては、引き続き、警戒監視、また情報収集・分析を行っておるわけでありますが、今後とも、これは継続してまいりたいと思っております。防衛省・自衛隊と致しましては、いかなる事態が発生致しましても、国民の安全をしっかり守っていくために、万全を期してまいりたい。




北朝鮮は、米国の対北朝鮮敵視政策の現れとして、米韓連合演習などに強く反発している。同年(2013年)3月から4月まで実施されていた米韓連合演習に対しては、国連安保理決議などへの反発とあいまって、朝鮮軍事休戦協定の完全白紙化、米国への核先制攻撃の示唆などの強硬な主張を繰り返した。14(同26)年2月から4月にかけて実施された米韓連合演習に際しても、対米非難を行いつつ、弾道ミサイルや多連装ロケットなどを多数発射した。さらに今後も自衛的権利としてミサイル発射や核抑止力の強化を継続するといった主張を繰り返した。(26年度防衛白書)

2016年3月1日火曜日

普天間飛行場の辺野古への移設に法的瑕疵はなし

辺野古の基地をめぐる代執行訴訟に関しては、口頭弁論によりまして、弁論は終結をされたものだと認識しております。平成25年末に、仲井眞前知事から、普天間飛行場の辺野古への移設に必要な埋立承認をいただきました。


http://blogs.mensclub.jp/haradajyudai/2015/04/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4%E7%A7%BB%E8%A8%AD%E3%80%80%E5%8F%8D%E5%AF%BE%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81/ (引用元)

既に行政判断というものは示されておりまして、法的瑕疵はないと考えております。また防衛省も、丁寧に沖縄県に申請を致しました。政府と致しましては、自然環境、また住民の生活環境に最大限配慮を致しまして、移設に向けた工事を進めていくという考えに変わりはありません。