常設の統合司令部の設置に関しては、平成20年頃より前から、組織の在り方等につきまして、検討が行われて、様々な意見が出されてきています。
結局、平成17年度に統合幕僚監部の新設以降、統合運用強化のための施策を推進してきました。わが国を取り巻く安全保障環境は、この10年でも一層厳しさを増していることを踏まえると、今後、統合運用の重要性はますます高まっていくと考えております。
現時点において、統合司令部のような組織の新設について、次期中期防に盛り込むなどの具体的な検討を行っているわけではありませんが、今後、一層効果的に部隊運用をし得る態勢を構築するという観点からは、統幕、主要司令部の任務・役割・機能分担をどう整理をしていくかといった点を踏まえまして、様々な課題を解決していく必要があります。
いずれにしましても、三自衛隊の部隊が一体となって、より一層効果的な活動が実施し得るということが重要であると考えております。
「自衛隊の運用を巡る計画の作成点検についての変更」はあくまでも、シビリアン・コントロールの原則に則り、私(中谷防衛大臣)の指示・承認を行うことにはなりますが、内部部局による政策的補佐と統幕による軍事専門的見地からの補佐が相互に相まって、必要な調整が行われることには変わりがありません。
本件の「自衛隊の運用を巡る計画の作成点検についての変更」は、この内部部局と統幕の間の業務上の連絡調整要領等について整理、改善をしたものです。その目的は、新たな役割分担の中で、文官と自衛官の一体性をより高めつつ、政策的見地と軍事専門的見地からの補佐が相まって行われ、「車の両輪」のように、私(防衛大臣)を適切に補佐して、より一層、適切な計画の策定、ないし、政策の決定がされることが重要です。
これまでもこの種の決定におきましては、大臣のもとに幕僚の補佐と内局の補佐の両者が同席した上で決定をしてきたものですので、基本的にはこれまでのやり方を変えるものではないと認識をしております。
内部部局と統合幕僚監部の間で業務上の連絡調整要領等について整理、改善をした結果、一部の「大臣承認の起案」は、統幕の主導に変わるため、統幕の方も文官統制が損なわれるのではないかという意見もありました。
しかし、繰り返しにはなりますが、文官統制という考え方は従来から文官が自衛官をコントロールするという意味の考え方は採っているわけではありません。つまり、文官という役割は、文民統制を担う防衛大臣の補佐であり、内部部局の文官が部隊に対して指揮命令をするという関係にあるわけではなく、政策的な見地の補佐と、また、軍事専門的見地からの補佐、この補佐が「車の両輪」としてバランス良く行われることを確保していくとものとされています。